デス・チケット
「だけど、カズモトたちはすごく静かだったよね」


「あぁ。……もしかしたらカズトモたちはまだ自分の置かれている状況がわかってないのかもしれないよな。予期せずに死んだりしたら、死んだことに気が付かないってなにかで読んだことがある」


そういう話なら私も聞いたことがあった。


だとすると、この男性は自分が死んだこと、閉じ込められていることをちゃんと認識しているのだろう。


そう思うと胸が苦しくなった。


いっそなにもわからないままの方が幸せなときだってあると思う。


「でも、おかしいな……」


ふとタイセイが険しい表情になった。


顎に手を当てて考え込んでいる。


「どうしたの？」


そう質問したときに内側からドアがガンッと叩かれて思わず飛び退いだ。


窓の奥から男が睨みつけている。


その目は血走り、歯はむき出しになってまるで野犬のようだ。
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