デス・チケット
壁自体はそれほど頑丈ではなく、ベニヤ板のようなもので表と裏を隔てているだけのようだ。


けれどそれを押しても引いてもビクともしない。


「なにしてるんだ?」


タイセイが怪訝そうな表情でこちらを見ている。


壁を押したり引いてみようとしたりするなんて、ついにおかしくなったと思われたのかもしれない。


「裏側に入った時みたいに、簡単には気がつけないドアがあるのかもしれないと思って」


カズトモとコノミが連れ去られたとき、私達には壁の中に吸い込まれていったよう
に見えた。


だけどそこにはドアがあり、ボタンひとつで開閉できるようになっていた。


裏側のここにも同じような隠し扉があるかもしれない。


「でも、ここはお化け屋敷の裏側だぞ? こんな手の込んだドアが必要か?」


表側ならお客さんを驚かせるための演出として使える。


だけどここはスタッフが出入りする場所だ。


本来ならそんなドア必要がないはずだった。
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