デス・チケット
「このお化け屋敷には必要だと思うよ。だって、私達みたいに必死で逃げ惑う獲物がいるんだから」


自分のことを獲物と呼ぶことで全身が冷たくなった。


けれど、このお化け屋敷にとって自分たちはまさに獲物だ。


「それならもっと慎重に探してみないといけないな」


外へ通じている扉は隠されている。


そう確信した私達は来た通路を戻りながら壁を丹念に調べて行った。


少し歩いては押してみたり、ボタンがついていないか手探りで確認する。


しかし、めぼしいものは見つからない。


次第にタイセイの呼吸が荒くなってきたことに気がついて私は足を止めた。


「タイセイ大丈夫?」


「あぁ、平気だ」
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