デス・チケット
男は唾を飛ばして熱弁する。


どうやったらそんなことができるのか、私には検討もつかなかった。


しかし、男の興奮ぶりをみるとそれが事実であるとわかった。


「問題は霊感があるかないかによって、それを見ることができるか、感じることができるかに差ができてしまうことだった」


男の言葉に私は自分の手の甲を見つめた。


入場するときに押されたスタンプは、未だに少しもかすれもせずにそこにある。


「感がいいみたいだな。そのとおり、そのスタンプは実は霊感を強くする作用をほどこしている特別なものだ。つまり、このお化け屋敷に入る前に全員にそのスタンプを押せば、幽霊を見ることができるわけだ」


「私達はその実験台でもあったの?」


聞くと男は微笑んで何度も頷いてみせた。

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