デス・チケット
「俺たちがここに来なかったらどうするつもりだった?」


タイセイからの質問に男は目を丸くして「その可能性はゼロだ」といい切った。


「そんなことあるはずない!」


叫ぶように言ってから、当時のことを思い出す。


私達は最初観覧車へ行くつもりでいた。


お化け屋敷なんて少しも入りたいとは思っていなかった。


「もしかして、あの飲み物か?」


気がついたようにタイセイがつぶやく。


ピエロがミチオに飲ませたあの飲み物。


あれを飲んでからミチオは頑なにお化け屋敷へ入ろうと言い始めた。


私達はてっきりアルコールを飲んでしまったのだと思った。


ミチオは大人と変わらない体格で、大人びて見える。


だから、ピエロに間違えて渡されたのだと。


でも、違ったんだ……。


「あのドリンクは短時間だけ人の行動を操れるもの。ピエロはドリンクを手渡したときにあの男の子に言ったんだ。『絶対にお化け屋敷に入れ』と……」
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