デス・チケット
☆☆☆

事務室の前までくるまでそれほど時間はかからなかった。


途中で幽霊たちに出会ったけれど、彼らの目的は私達じゃない。


彼らはまるで私たちなんて見えていないかのように、関係者たちを襲っていた。


だからここまで来ることも簡単だったのだけれど……。


「鍵がかかってる」


ドアノブを何度も回して私はつぶやく。


作業服の男たちは１度私達に事務所に入られてから、厳重に施錠するようになったみたいだ。


それも考えてみれば当然のことだった。


作業服の男はこのお化け屋敷が完成すれば、興行収入がすごいことになると期待していた。


それを成功させるためになんでもやる覚悟だったのだ。


「どうにかドアを破ることができないか」


タイセイに言われて力づくでドアを叩く。


しかしドアはびくともしない。


でも壁は簡易的なものでできているはずだ。
< 124 / 208 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop