デス・チケット
そう考えて隣の壁を蹴ってみるが、こちらも板ではなくコンクリートでできている。


簡易的な部分は私達獲物に触れられても大丈夫な部分だけみたいだ。


とことん用意周到な遊園地のやり方に怒りがこみ上げてくる。


その勢いでドアを蹴飛ばしてみたけれど、やっぱり無駄なことだった。


その間にもタイセイの腕には幾筋もの血が流れていて、顔色は悪くなっていく一方だ。


せめてどこか横になれる場所があればいいのだけれど。


そう思って周辺の壁を探る。


頑丈にできたコンクリートの壁は触れるとヒヤリとして冷たい。


今のタイセイならこの冷たさが心地いいかもしれない。


そう思ってタイセイの方へ振り向いたその時だった。


右足が何かを踏んづけたようで、カチッと小さく音がした。


驚いた拍子に体のバランスが崩れた。


かと思った次の瞬間、私の体は後方に倒れ込んでいたのだ。


後ろにあったはずの壁が突如消えたのだ。


「キャア!?」


大きな悲鳴を上げて尻もちをつく。
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