デス・チケット
「ちょっと、待って」


点滴に手を伸ばした私をタイセイが止めた。


そしてコノミにかけられているしろいシーツをそっと外す。


怪我や傷口も手当されていて、ただ眠っているだけみたいだ。


「この点滴を外して、本当に大丈夫か?」


聞かれて私は返事に詰まった。


遊園地が用意した点滴なんて信用できない。


だけどこれを外してしまうことで、その先なにが起こるのかもわからなかった。


もしかしたら、このまま本当に死んでしまうんじゃないかと不安がよぎる。


「コノミたちの体はここにある。じゃあ、あの部屋に閉じ込められていたのはなに?」


いったん点滴を外すことから離れて、別の角度で考えてみることにした。


コノミたちは死んではいなかった。


だけど魂は別の場所にあって、見世物にされている。
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