デス・チケット
ずっと出口がなくてさまよっていた、暗くて怖い道の先にあった希望。


この希望だけは絶対に手放したくないものだった。


「閉じ込められていた魂はすでに部屋から出してある。あとはこの部屋に誘導するだけでいい!」


タイセイが同じように声を上げた。


表情は明るく目は輝いている。


けれどそれとは裏腹に荒い呼吸を繰り返していた。


座り込んでしまって以降、顔色も急激に悪くなってきている気がする。


「大丈夫?」


隣に座って様子を伺うとタイセイは軽く頷いて見せた。


しかし、立ち上がろうとすると体のバランスを崩して倒れてしまいそうになる。


右腕の傷口を確認してみると、まだ出血が続いていることがわかった。


私が思っている以上に出血量が多いみたいだ。


このまま動けば更に出血は増える。


それに、今のタイセイはフラフラで歩くこともままならない。


私は覚悟を決めるようにゴクリと唾を飲み込んだ。
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