デス・チケット
ハッと息を飲んで目を開けると、カマ男が後方へ倒れていくのが見えた。


え……?


カマ男の後ろには暴れていた男の魂がいて、カマ男の首に両手をかけているのだ。


魂になった男は無傷で、疲れも知らない様子だ。


そのすきにどうにか立ち上がり、駆け出した。


今度こそチャンスを手にするんだ。


他の魂たちを探して必死に通路を走っていると、前方に倒れている作業服の男たちを見つけた。


足を緩めて警戒しながら近づいて行くと、2人とも生気を失ったように青ざめて目を閉じているのがわかった。


もしかして死んでいるんだろうか?


通り過ぎる寸前に少しだけ顔を寄せてみると、ちゃんと呼吸をしている音がきこえてきてホッと胸をなでおろした。


どうやら気絶しているだけみたいだ。


こんな最低なヤツらでも、死んでしまうとやはり気分が落ち込んでしまう。


私は倒れているふたりが目覚めないようにそっとその場を後にしたのだった。
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