デス・チケット
「この通路をずっと歩いて行って、白いハンカチが置いてある場所まで行って! そこに隠し扉があるからノックをして開けてもらって!」


魂だけれど、物にふれることはできる。


ノックをすればきっとタイセイが反応してくれるはずだ。


「カラダ……」


女性の魂がゆらりと揺れて呟いた。


その目はうつろだけれど、体という単語に強く反応を示している。


「そうだよ。あなたの体がそこにある。体に戻ることができるんだよ!」


私は魂に触れることができないから、必死で説得するしかない。


その気持が通じたように女性はゆっくりと歩き出した。


それに釣られるようにして他の霊たちも動き出す。


自分の意思でというよりも、他のみんなと同じ行動を繰り返しているだけに見える。


でも、それでいいんだ。


あの部屋にたどり着くことができれば、きっとなにもかもがうまく行く。


私はそう確信していた。


「どうして……」
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