デス・チケット
ここに閉じ込められていた魂はとっくに部屋を抜け出しているようだ。


「ミチオ、カズトモ! 返事をして!」


魂になってしまった3人がまともな返事ができるのかどうかわからない。


けれど、私達は友達なんだ。


きっとなんらかのアクションを起こしてくれると信じている。


暗い通路はどこまで続いていて、重たい空気は相変わらず体にのしかかってくる。


額にジワリと汗が滲んできて私は足を止めた。


少し休憩しよう。


そう思って立ち止まったとき、壁のくぼみが歪んだように見えて振り向いた。


もしかしてまた隠し扉だろうか?


そう思ったが、壁が歪んだのではなくくぼみにすっぽりはまるように女性がうずくまっているのだ。


その人は顔を下に向けて小刻みに震えている。


その異様さに一瞬恐怖を感じたけれど、魂であることには違いない。


お化け屋敷の中で出会った関係者たちは、全員男だったからだ。
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