デス・チケット
気がつくと同時に私はかけよっていた。


「ミチオ! やめて、その人死んじゃうよ!」


コノミは自分がしてしまったことを覚えていて、あんなにも苦しんでいた。


ここで人を殺してしまうと、ミチオだって同じように苦しむことになってしまう。


しかし、ミチオの視界にはカマ男しか入ったおらず、少しもこちらを見ようとしない。


「ミチオ! こっちを見て! セイラだよ!」


自分の名前を伝えてもミチオは反応しなかった。


首を締められているカマ男は白目を向き、口の端から泡をふきはじめた。


このままじゃ本当に死んじゃう!


「コノミが待ってるよ!?」


咄嗟に大きな声で叫んでいた。
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