デス・チケット
「落ち着いてミチオ! 正当防衛だよ。この人たちは私達を殺そうとした。仕方ないことだったんだよ!」


こんなことで罪に問われたりはしない。


必死にそう伝えたけれど、半分パニックになったミチオには通じなかった。


何度がその場で発狂したかと思うと、突然走り出したのだ。


「ミチオ、待って!!」


せっかくミチオの魂に出会うことができなのに、これじゃ意味がない!


慌てて後を追いかける。


しかし、運動神経が悪い私がミチオに追いつくことは難しい。


どれだけ懸命に手足を動かしてもその背中はどんどん遠ざかっていく。


「ミチオ、お願い私の話を聞いて! ミチオの体を見つけたの! 体に戻ればきっと外へ出られるから!」


必死の叫びも虚しく、ミチオの姿は通路の向こうへと消えていってしまった。


私は膝に手を当てて立ち止まり、深呼吸を繰り返す。


突然走ったせいで肺が痛い。


息を吐き出すだけで胸が苦しい。
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