デス・チケット
☆☆☆

どれだけそうしていただろうか。


疲れていたせいか、一瞬眠ってしまっていたようで記憶が飛んでいる。


ふと目を覚まして周囲を見回してみても、状況はなにひとつ変わっていなかった。


暗い通路がどこまでも伸びている。


もう嫌だった。


今すぐ逃げ出したかった。


限界はとっくに越えていた。


それでも、自分が動かないとなにも変わらない。


逃げ出すことすらできない。


私は重たい体をどうにか持ち上げて立ち上がった。


その瞬間よろめいて壁に手をつく。


全身がふらふらして立っていることもやっとだった。
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