デス・チケット
思えばここに入ってきたときからずっと霊気に触れてきて、体はもうボロボロの状態だった。


それでもここまで来た。


もう少し。


もう少しで出口が見えるはずなんだ。


自分を叱咤して足を前に出す。


鉛のように重たい足に顔をしかめ、両手で太ももを殴った。


痛みはあるものの鈍くて、自分の体が自分のものじゃないように感じる。


「動け、動け!」


バンバンと何度か叩いているとようやく感覚が戻ってくる。


大丈夫。


私はまた歩くことができる。


それはもう気力だけの勝負だった。


必ず勝てるとも限らない、果てしない勝負。
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