デス・チケット
そしてまた歩き出した。


一歩一歩、ゆっくりと。


だけど確実に。


また体がふらついて壁に手をついた。


トンッと手をついた感覚に違和感があって顔を向けると、そこは部屋のドアになっていた。


どうせ誰もいない。


そう思って通り過ぎようとしたときだった。


小窓の奥で何かが動いた気がして私は足を止めた。


「誰かいるの?」


声をかけると、かすかな物音が返ってきた。


誰かいる!


ハッと息を飲んでドアノブに手をかけた。


どうしてまだ部屋にいるの?


まさか、鍵を開け忘れてた?
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