デス・チケット
そう信じてしばらく経った時だった。


ミチオの指先がピクリと動いたのだ。


「ミチオ!?」


コノミの呼びかけに応えるようにミチオのまぶたが震える。


そしてゆっくりと目を開いたのだ。


「よかった、ミチオ!」


コノミがミチオの体にすがりつく。


今度はすり抜けること無く、しっかりと抱きしめることができた。


ミチオの体温を感じて、コノミの両眼から涙がこぼれ落ちた。


「心配かけて悪かった」


ミチオが左手を伸ばしてコノミの頭を撫でる。


その動作はゆっくりだったけれど、魂はたしかに戻ることができたのだ。


「ふたりとも、ありがとう」


私とタイセイへ向けてそう言うミチオに、私たちは微笑んで頷いたのだった。
< 183 / 208 >

この作品をシェア

pagetop