デス・チケット
通路の奥からタイセイの声がして私達は少し早足になってそちらへ向かった。


後ろからはカズトモがついてきている。


通路を曲がったところでミチオとタイセイが待ってくれていた。


「見ろよ」


そう言ったミチオの声はしっかりしていて、どうやら酔が覚めたみたいだ。


酔っていなければあんなに強引にお化け屋敷へ入っていくこともなかっただろう。


「なにこれ?」


通路を曲がってすぐにあったのは、ガラス張りの小部屋だった。


小部屋は通路の左右にあり、まるで水族館の中にいるような錯覚を覚えた。


しかし違っているのは水槽は小部屋になり、中にいるのが人間だということだ。


そして通路側から小部屋へ入るためのドアはない。


通路から見学するだけになっている。


小部屋の中にいる人物は長い髪の毛の女性で、白いワンピースを着ている。


しかし、髪の毛も服も泥だらけ、ワンピースはビリビリに敗れて下着まで見えてしまっている。
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