デス・チケット
ハッとして後ずさりをすると、男がドアの前で立ち止まった。


その手にはロウソクが握られている。


「こいつだ。カマ男の死体を処理したやつだ」


カズトモが小さな声で言った。


男の顔は歪み、青ざめている。


けれど、その目はしっかりと私達を見つめていた。


「もうおしまいだ。なにもかも終わりだ」


男はブツブツと呟くように言う。


私はゴクリと唾を飲み込んで男を見つめた。


なにか様子がおかしい。


下手に声をかければなにをされるかわからない。


「せっかくここまでこぎつけたのに、見世物の魂たちはみんな逃げ出した。残ったのはお前だけ」


男の視線がカズトモへ向かう。


私とタイセイは咄嗟にカズトモの前に出た。
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