デス・チケット
タイセイがそう言って立ち上がる。


しかしその体はかすかによろめいた。


休憩すれば少しは良くなるかもしれないと思ったけれど、体調は更に悪化しているようだ。


「もしかしてこの空間のなにかにやられてるのかもしれないな」


タイセイは苦笑いを浮かべてつぶやく。


「なにかって、なに?」


「わからないけど、たとえば空調に乗ってなにかが運ばれてきているとか」


人体に影響するものがこの空気中にあると言っているのだ。


私は周囲を見回して強く身震いをした。


もしそんなことをされているのなら、一刻も早く外へ出ないといけない。


ここは本当に普通のお化け屋敷じゃないことになってしまう。


重たい体に鞭打ってどうにか足を前にすすめる。


一歩歩くだけで精一杯になるなんてこと、生まれて始めての経験だった。
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