デス・チケット
タイセイの言葉に時間が止まった気がした。


なにも聞こえない、なにも見えなくなってしまった気がした。


「死んでる……?」


無意識に聞き返したとき、やっと音と色が舞い戻ってきた。


「あぁ。ここにいる人達は全員、ほんものの幽霊ってことだ」


本物の、幽霊……。


ゾクリと全身が泡立つ。


忘れていた気分の悪さと体の重さが舞い戻ってくる。


「そんな、本物の幽霊だなんて、まさか」


そう言って笑おうとしたけれど、顔がひきつってうまくいかなかった。


「ありえるな」


ミチオが真剣な表情で頷く。
< 52 / 208 >

この作品をシェア

pagetop