デス・チケット
私とコノミは同時に叫ぶように聞いた。


するとコーヒーカップの操作室から作業服姿の男性が出てきて、「本当だよ。さぁ、君たちは先に行って」と、アトラクションの中へと誘導してくれたのだ。


まだ列に並んでいる人たちからブーイングが起こるけれど、従業員の人が特別な客であることを説明してくれていた。


「ねぇ、これって一体どういうことなんだろうね?」


コーヒーカップを楽しんだあと、私たちは観覧車に乗っていた。


こちらは50分の順番待ちだったけれど、スタンプがあったおかげですぐに乗ることができた。


「わからない。でも、すごいチケットを取っちゃったみたいだな」


カズトモは満足げに言う。


それはそうかもしれないけれど、未だに並んでいるお客さんたちを見ているとなんだか申し訳ない気持ちになってしまう。


「セイラは少し気にしすぎなんだよ」


私の気持ちを察したようにタイセイが言う。
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