デス・チケット
☆☆☆

お化け屋敷の裏側は不気味なほどに静まり返っていた。


その静寂はまた私達を追い詰めるための罠のように思えて身震いが止まらない。


無理やり引っ張られていたはずのタイセイの手を、気がつけば強く握りしめていた。


ずっと好きだと思っていた人の手を、まさかこんな風に握りしめることになるなんて思ってもいなかった。


もっと普通に、デートとか、胸がドキドキするような場面でつなぎたかった。


途端にこのままでいいんだろうかという疑問が浮かんできた。


お化け屋敷の中から無事に脱出できるかどうかもわからない。


このまま殺されてしまうかもしれない。


それなのに、気持ちを伝えないままでいいのか……。


ゴクリと唾を飲み込んでタイセイの背中を見つめた。


その背中は初めて出会ったときよりも随分大きく見える。


私はずっとこの背中を追いかけてきた。
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