デス・チケット
「このくらい気にしないで」


それよりもタイセイが命がけで私を守ってくれたこと、そしてこうして無事でいてくれたことが嬉しくてならない。


「でも、これからどうしようか」


問題は出口を探すことだった。


けれど今の状態でタイセイが動けるとは思えない。


私の体も随分と重たくなってきていて、少し走るだけで肺が痛くなってきている。


気力も体力もそろそろ限界が近かった。


「出口を探さないと」


タイセイはそう言って立ち上がろうとするが、すぐに座り込んでしまう。


動くと傷が痛むのか顔をしかめてくやしそうに舌打ちをした。


いくら動けなくてもずっとここにいればいずれカマ男や作業服の男たちに見つかって殺されてしまう。


私達に残されている時間はほとんどないはずだ。
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