王女の選択
「ヴィクトー殿!な、何の真似かわかりませんが今すぐこの手を離してください!!」
「どっちの手を外してほしい?」
「?!ど、どちらもです!」
「嫌だと言ったら?」
ヴィクトーは余裕の表情でカーラを見下ろし、面白そうにカーラに質問してくるが、カーラはバクバク鳴り響く心臓の音がヴィクトーにわからないよう上半身を離すことに必死だった。
「カーラ。君が明日の宴で何か企んでいるのはわかっている」
突然の言葉にカーラはハッと息を呑みこんだ。ヴィクトーはまるで気にしていないというように横に首を振ると、こめかみにかかる髪をそっと耳にかけた。
「ジェラルドが君に心を奪われていることを知っている。そして・・・カーラ、君も同じだろう。そんな君がもし何かの理由でジェラルドを殺したとして・・・」
ヴィクトーはカーラを優し気に見つめながら、手の甲でそっとカーラを撫でる。
「リュカと私からそのまま逃れられると思っている?」