王女の選択

彼らは難なくやってのけるだろう。
どちらが先に息絶えるかぐらいの違いでしかない。
カーラはジェラルドに抱きしめられながらも、必死に守ろうとしてくれるジェラルドを裏切っている気がしていたたまれない気持ちになった。どう考えてもヴィクトーとの会話を話せるわけがない。

「若馬をくださってありがとう」

カーラは自分の声が震えるのを感じながらも、気持ちを込めてジェラルドにお礼を言った。

「こんな贈り物をされるとは思っていなくてびっくりしたの」

「気に入ったか?」

大きく何度も頷くカーラを見てやっとジェラルドは微笑むと、名前を考えておくよう伝え、立ち上がった。
カーラも何とか起き上がるとジェラルドと共に城に戻った。




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