王女の選択
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食事の後、朝とは違って城内は外の小鳥のさえずりまで聞こえてくるほど、静けさが広がっていた。
カーラはいつものようにルドルフの様子を見に行こうと足を向けると、そこにはジルベールがいた。
「カーラ殿。席を外しますのでどうぞこちらへ」
「いいのよ、ジルベール。私は後でまたくればいいのだから」
「二人に話すことがある。明日のことでだ」
少ししゃがれた声で、ルドルフは二人を呼んだ。
「お父様。何度も考えたのですが・・・」
「お前の考えなど聞いておらん。明日までにジルベールが毒を準備する。その毒を金のワイングラスのふちに塗っておけ。そうすればお前も他の誰かも間違えることはあるまい」
ジルベールは何の反応もせず、ルドルフの言葉に耳を傾けていた。カーラは苛立たしく思いながらも怒りを面に出さないよう、落ち着いた調子でルドルフに意見を述べた。
「そんなことをしても、すぐにその場でジェラルド大公の騎士たちに殺されるだけです。彼らはこの二日間何の見返りも求めず、我がセルドウィックのために手助けしてくれています。明日の宴も我々が催すとは名ばかり、食料は全てストラウスから運び込まれています」
「ふんっ。厭らしい奴らだ」