王女の選択
「カーラ殿は亡き王妃にそっくりです」
突然の言葉にカーラは目を見開いた。
「優しく、思いやりがあり、そして愛情にあふれておられました。間違ったことが嫌いでよくルドルフ殿に説教もされていました」
ジルベールがくっくっくっと笑いながら、カーラに目をやった。
「王妃が今のカーラ殿を目にしていたら、誇りに思ったことでしょうな」
その言葉になんとなくくすぐったく感じ、身じろぎしてカーラは視線をずらした。
「カーラ殿はジェラルド大公をどのように思われますか」
「ど、どのようにって」
「我々はジェラルド殿に敗れました。いわゆる敵国の君主です。その彼を・・・敵国の君主である彼の命を取ることが今のカーラ殿にできますか」
カーラは思わず首を横に振り、目をつぶった。
三日前ならイエスと答えることができたかもしれない。