王女の選択
カーラは自分の部屋に駆け込むと、枕に顔を埋めて涙を流した。
どうして、どこかの貴族の娘ではなかったのだろう。
どうして、セルドウィックの、父の復讐を見届けなければいけないのだろう。
ふとその時、以前ジルベールが言った言葉を思い出した。
父を取るか、ジェラルドを取るか―――。
ジェラルドを殺すことなんてできない。
なら、父を殺す?
そんなこと考えたこともないし、できるはずがない。
ならどうすればいいの?
重い頭を枕に預けたまま、カーラは答えの見つからない問いを自問し続けていた。