王女の選択

それが今できる精一杯の愛情表現だった。
カーラは静かに立ち上がって部屋を出ようと後ろを向いた瞬間、手首を掴まれ気づくとジェラルドの膝の上に横向きに座っていた。

「足りない」

一言呟き、カーラが答える前に唇をふさいだ。それは厩舎の時のような触れるだけの口づけではなく、奪い取るような攻撃的なキスだった。
それでも、自分の気持ちに気付いてからの初めてのキスにカーラは酔いしれた。
ジェラルドが自分を必要としているのを感じ、服従の意を表すかのようにジェラルドのキスを受け入れた。彼が満足するまで何度も何度もキスは続き、息切れするカーラを見てようやくキスの嵐は終わった。

「疲れたのか」

「たぶん」

夢うつつな様子で答えると、暗闇から柔らかな笑い声と共に大きな手がカーラの頭をゆっくり撫でた。
誰にも邪魔されたくない。今だけでいいから、この幸せを噛みしめていたい。

「橋の修復はほぼ終わった」

「本当に?」

「交渉次第だが、すぐにでも国交を回復できればと思っている」

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