王女の選択

「え?私?」

ステラは当たり前だろうとでもいうように、両手を腰に当てると大きなため息をついた。

「カーラ様よろしいですか。王妃がいかに気配りができるかで宴の価値が決まると言われております。そして、それには身なりも入っているんですよ。王妃がいないこの城では、カーラ様が女主人として宴を取り仕切るのは当然のことです」

いつものように食事の準備をして、少し小ぎれいなドレスを着ればいいと思っていたカーラは動転して、運んでいたナプキンを床にばらまいてしまった。急いで散らばったナプキンをかき集めたが、ステラが繰り出す次の言葉にカーラは完全に立ち尽くしてしまった。

「ジェラルド殿とダンスを踊られるんですよね」

「なっ、何を言っているの!!そんなことするはずないでしょう!宴と言っても大勢を招待しているわけでもなく、夕食を少し豪華にするだけなのだから」

「でも戦勝国の君主ジェラルド殿からお願いされたら、断るわけにはいきませんよね?」

「お願いされるはずないわ」

「でも、昨日は奏者を数名用意するようジルベールに話しておりましたよ」


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