王女の選択

「我々セルドウィックとストラウスの新たな友好関係を築いていくため、このような場を設けさせてもらった。改めてこの場にいるストラウス大公、並びに騎士どもには感謝したい。また、戦いの後も迅速に復興の手助けをされたということは耳に入っている。それについても重ね重ね礼を伝えたい。今夜どこまで交渉が進められるかわからないが、両国の未来のために、歩み寄ることが出ることを願う。交渉に関しては宴の後というわけなので、まずは思う存分この宴を楽しんでいただきたい」

ルドルフはまるで自分が宴を準備したかのように振る舞い、カーラは唇を噛みしめ、リュカは眉間にしわを寄せたが、ジェラルドは何の感情も見せずにじっとルドルフに目を向けていた。今朝までジェラルドが座っていた上座にルドルフが腰を下ろすと、カーラは右隣に、その向かいにジェラルド、ヴィクトー、そしてリュカが腰を下ろした。

ルドルフの顔色は思ったよりもよく、ステラと侍女たちにワインを振舞うように指示した。食事は野菜のスープから始まり、骨付き子羊のロースト、そして、フィッシュパイに季節の野菜などここ最近見ることのなかった料理が次々と運ばれてきて、誰もが舌鼓を打った。用意されたワインも赤がセルドウィック産の濃厚なワイン、白はストラウスの有名な甘さ控えめな辛口ワインで、ルドルフは上機嫌でその白ワインを口にし、その美味しさを絶賛した。

「これは素晴らしい!こんな白ワインは飲んだこともない。今後ストラウスとの貿易の中の一品目として追加せねばならない。ジルベール!忘れないようにしておいてくれ」

「かしこ参りました」

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