王女の選択
「今更だが、交渉に関してはこちらからはたった一つ。鉱山権をいただくことだ」
まるでこの戦いの戦勝国とでもいうように、ルドルフは大柄な態度で要求を出した。ジェラルドはその様子をじっと見ていたが、しばらくして静かに答えた。
「奇襲をかけてこられてから、この戦いの根本的な原因は何だったのかずっと考えてきました。その根本的な原因が解決しない限り、同じことが繰り返されてしまうと」
「根本的な原因?そんなことを知っても何の役にも立たん」
「それを判断するのはこちら側かと。ルドルフ殿はセルドウィックを統治され、周辺国との関係も良好だった。それを自ら手放し、国の崩壊へと導いている姿は私が知っているルドルフ殿とは明らかに違います」
ジェラルドが落ち着いて話せば話すほど、ルドルフは息を荒げ、鋭い視線を送った。
「貴様に・・・何がわかる・・・」
「わかりません。ですから聞いているのです。はっきり言えることは鉱山権を譲ることは100%ないということです。ただし内容によっては鉱山権の共有は可能かもしれません」
ヴィクトーはジェラルドに素早く視線を移したが、すぐに正面に戻した。
「小さい頃この地を訪れた時、ルドルフ殿とイリアナ殿がこの国を案内してくれたことを今でも覚えています。小さいながらも君主というものがどういうものか学びました。あの後、父に第一王子として父を支えることはできなくても、いつの日かセルドウィックのように国を統治したいと話しました。そして、任されたのがあのストラウスです」