王女の選択
「ジェラルド殿。お休みされなければ体が壊れてしまいます」

「そうだよ。朝食を持ってくるからそのあと少しは体を休ませるんだ」

ヴィクトーは近づくと、ジェラルドの肩に手を添えた。

「ジェラルド殿にはされなければならないことがあります。セルドウィックの復興、ルドルフ殿の処遇、ストラウスの修復が終わったとしてもアングラード国王に任せっぱなしではいけません。カーラ殿も戦っておられます」

三人はベッドに横たわるカーラに目をやった。熱が高いためか、苦しそうに肩で呼吸している。まず熱を下げなければいけないが、その方法も限られていた。
ジェラルドはヴィクトーの顔を見上げると、ゆっくりと立ち上がりヴィクトーと目を合わせた。

「朝食はここで取る。休んだ後、ルドルフ殿に会いに行く。ストラウスには・・・カーラが目を覚ますまで、ストラウスには戻らない。・・・リュカ」

ジェラルドは力ない声でリュカを呼んだ。

「ストラウスに一度戻って、こちらの状況を説明し向こうの様子も確認してきてほしい。できれば侍医を連れて来てくれ」

「わかった。大丈夫。必ず目を覚ますさ。カーラはやるべきことがあるからね」

リュカの言葉に不可解な表情で見返した。

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