王女の選択

「やるべきこと?」

「おいおい。こんな状況で嫉妬するのは止めてくれ。昨日カーラが人手が欲しいと言って残っただろう?あれ、実はダンスの特訓をしたかったからなんだ」

「ダンスの特訓?」

「そう。お前が楽器奏者を用意なんかさせたもんだから、カーラは焦っていたわけ。ジェラルドとダンスをすることになっても踊れないって」

リュカはその時の様子を思い出しながら、苦笑した。

「ジェラルドには逆に感謝されるべきなんだぞ。カーラのダンス音痴には手を焼いたんだから。・・・でもそれも全てジェラルド、お前のために必死になって覚えていたんだ。そんな彼女がお前とダンスを踊らずにこの世を去るなんてことは絶対にない。だから大丈夫だ」

リュカは目をそらさず、力強く頷いた。

「・・・カーラと呼ぶな」

ジェラルドは目を反らして小さく呟くと、カーラの傍に戻り情愛に満ちた眼差しでカーラの頭にそっと触れ、耳元で何か囁いた。ヴィクトーはジェラルドとカーラを二人にするため、リュカに合図を送ると静かに部屋から出て行った。

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