王女の選択
ルドルフは体を震わせ両手に顔を埋めた。ジェラルドがストラウスを統治するようになり最初に手掛けたのが鉱山での採掘だった。ルドルフから手紙を受け取った覚えは・・・ない。しかしもし受け取ったとしても、許可を渋ったであろう。ストラウスがまだきちんと統治されていない状況で突然多くの兵を投入したいと言われたらどんな理由でもすんなりと首を縦に振ることはできなかったはずだ。少なくとも当時のジェラルドには無理な話だった。父が総合的に考えて答えを出したに違いない。
ジェラルドは感情を表には出さなかったが、ある種の憐れみをルドルフに感じた。
「殺すがいい。イリアナを失い、自分のたった一人の娘に手をかけた王など生きていく理由がない」
ジェラルドはルドルフを黙ってじっと見降ろしていたが、後ろを向くと外に合図を送って兵にドアを開けるように指示した。
「できることなら、この手で八つ裂きにしたい。ただカーラが命がけでつぶやいた言葉は父親を許してほしいでした」
ジェラルドはドアの外に出るとルドルフをもう一度見返し冷たく言い放った。
「生きてこれまでの罪をどう償うか、じっくり考えていただきたい」
ルドルフは呆然とした眼差しで重いドアが閉まっていくのを見守った。