王女の選択
17
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ジェラルドは廊下を歩きながら複雑な気持ちになった。
ヴィクトーの話だと、カーラはあの宴の前にこの話を知ったはずだ。
父親の復讐心を知り、何をすべきか相当悩んだに違いない。
あの時短剣を突き刺されてもなお、父親を許してほしいという言葉がカーラの口から出て来たのは、ルドルフの苦しみをある意味理解したからであろう。
大広間に戻ってみると、ロイドが一人で剣の手入れをしていた。娘のようにかわいがっていたカーラと忠誠を誓ってきたルドルフの間で、ロイドもまた複雑な思いに駆られているに違いない。
「カーラ様の様子は?」
「ステラに任せてある。ルドルフ殿の所に行ってきた」
ロイドは唖然とした様子でジェラルドに目をやった。
「まさか・・・・」
「心配するな。話をしただけだ」
一瞬頭によぎった最悪なことをジェラルドに気づかれていると知り、ロイドは気まずそうに椅子に座りなおした。
ルドルフとの話をかいつまんで話すと何も知らなかったロイドは驚愕し、呆然とした表情で首を振り、拳でテーブルを叩いた。
「セルドウィックの騎士として一体何をしていたのかっ!国王に仕え、支えてきたと思っていたのに何一つ知らずに・・・」
「ジルベールしか把握していなかったのだから、仕方あるまい」
気休めにもならない言葉だったが、ロイドが罪悪感を抱く必要はないということだけでも伝えてやりたかった。