王女の選択
「一曲お願いできますか」

ゆっくりとお辞儀をして手を差し伸べたジェラルドは、ちらっとカーラを見て思わず吹き出しそうになった。

さっきまで幸せ絶頂だった笑顔は一瞬にして凍り付き、頭の中で必死にダンスのステップが確認されているのが手に取るようにわかる。

この披露宴でストラウス側とセルドウィック側が正式に和解したと印象づける意味合いもあるが、ジェラルドにとってはそんなことは正直どうでもよかった。

ストラウスからだけではなく、アングラードから家族以外の側近たちも招待したのは偏にカーラは自分だけのもので側室等は一切必要がないと示したかったからで、どちらかというとそちらの意味合いのほうが強い。


さて、どうするか。


せっかくの一日を台無しにしたくはないが、ちょっとしたお仕置きも必要だしな。
リュカとダンスを踊ったと聞いていたジェラルドにとって、カーラとダンスを踊ることは必須事項の一つでもあった。

「ジェラルド・・・ぁの・・・」

踊れないと断るべきか、踊って恥をかくべきか・・・そんな選択が頭に浮かんでいるのだろう。しかし、この問いの答えは一択しかないことを彼女はわかっていない。ジェラルドは甘い微笑みをカーラに投げかけると、耳元でささやいた。


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