王女の選択
* * * * * *
気づくと目の前にたくましく鍛え上げられた胸元が見えた。
いつの間にか眠っていたらしい。
下腹部にズキッとくる痛みがあったが、口元には微笑みが浮かんだ。
肩から腕にかけた傷跡を見つけ、指でスッとなぞるとふいに体が動いた。
「ぁ・・・」
がっしりとした腕がカーラを引き寄せる。小さく頷きながらも昨夜のことを思い出し、カーラは思わずジェラルドにしがみついた。
「まだ大丈夫か?」
まだ・・・大丈夫か?
カーラは言葉の意味を理解しようとジェラルドを見上げると、返事を待つこともなくジェラルドが覆い被さってきたので、慌てて首を振った。
「む、無理です!」
「何度も言わせるな。それは聞き入れられない要求だ」
ジェラルドはカーラの耳を甘噛みすると入念に舌で耳の輪郭をなぞり始めた。
カーラは悲鳴を上げ体を引き離そうともがくが、両腕を封じ込められ身動き一つできない。できることと言えば腕の中で経験したことのない快感に身を震わせているだけだった。
「ジェラルドっっ!!」
「・・・・剣の達人であるセルドウィックの王女が情けない」
嬉しそうにそう言うと、ジェラルドはカーラとまた体をつなげた。
痛みを上回る快感にカーラは甘声でジェラルドの名を何度も呼ぶ。
カーラの恍惚とした表情を見ながら、ジェラルドは柔らかい微笑みを浮かべる。
「嫌だと言ったり、喜んだり・・・忙しい奴だ」
カーラの甘い声を耳にしながら、ジェラルドは自分も高みへと昇り詰めていった。