王女の選択

結局、二人は軽食を寝室に運ばせ、ベッドの上で食事を済ませた。

「こんな体たらくな生活、続けられないわ」

ぶすっと唇を尖らし、ジェラルドに抗議した。

「体たらくとは失礼な」

くっくっくと笑いながらも、ジェラルドはカーラの肩にそっと口づけた。

「汗水流して働いてきた夫に言う言葉ではないな」

「っ!違うわ。ジェラルドのことを言っているのではないわ。私自身のことよ。今までしていた仕事も侍女や他の者がしてしまうし、
私がやることなんてほとんどないんですもの」

「ダンスの練習をしていたではないか」

「ふんっ!あんなものなくなってしまえばいいんだわ!音楽は好きだけれども、相手の足を踏まないように気を使って動くなんてまっぴらだわ」

「もうすぐストラウスに行くのだし、旅行の準備をしなくてはいけないだろう」

「それだって、ステラたちがみんなしてしまってお呼びではないのよ」

「なら・・・」

ジェラルドは一拍置いた後、片眉をあげて、カーラの覗き込んだ。
< 181 / 196 >

この作品をシェア

pagetop