王女の選択
結局、二人は軽食を寝室に運ばせ、ベッドの上で食事を済ませた。
「こんな体たらくな生活、続けられないわ」
ぶすっと唇を尖らし、ジェラルドに抗議した。
「体たらくとは失礼な」
くっくっくと笑いながらも、ジェラルドはカーラの肩にそっと口づけた。
「汗水流して働いてきた夫に言う言葉ではないな」
「っ!違うわ。ジェラルドのことを言っているのではないわ。私自身のことよ。今までしていた仕事も侍女や他の者がしてしまうし、
私がやることなんてほとんどないんですもの」
「ダンスの練習をしていたではないか」
「ふんっ!あんなものなくなってしまえばいいんだわ!音楽は好きだけれども、相手の足を踏まないように気を使って動くなんてまっぴらだわ」
「もうすぐストラウスに行くのだし、旅行の準備をしなくてはいけないだろう」
「それだって、ステラたちがみんなしてしまってお呼びではないのよ」
「なら・・・」
ジェラルドは一拍置いた後、片眉をあげて、カーラの覗き込んだ。