王女の選択
「剣術の練習でもするか?」
「!?するっ!!」
カーラの目が輝きだすのを見て、ジェラルドは声をあげて笑った。
ルドルフからカーラが剣術の練習を毎日していたと聞いていたが、兵士と混じって、実践を行っていたというのだから考えただけでも恐ろしい。
「ただやるからには、条件がある」
ジェラルドはカーラの目を覗き込むと、一言一言はっきりと告げた。
「剣術の練習は、兵士達とやってはならない」
「ど、どうして!?今まで何の問題もなくやってきたわ」
「今まではそうだったかもしれないが、君は何よりもまずストラウスの王妃だ。いつ誰がどんなすきを狙って卑怯な手を使ってくるかわからない」
「それなら、セルドウィックの兵士たちと練習するわ。彼らのことは知っているし」
「カーラ。全兵士と実戦練習をすることは許さない。ただし・・・」
胸元で腕を組み、納得のいかない表情のカーラを見てニヤッと笑うと耳元でささやいた。
「私が相手になろう。相手として不服か?」
カーラはサッとジェラルドを振り返り目をまん丸と見開きながらも、ジェラルドと実践できることを想像してか、顔を赤らめながら興奮していく様子が手に取るように分かった。
―――― こんなカーラを他の誰にも見られるわけには行けない。
ジェラルドの首に両腕を巻きつけながら大喜びするカーラを抱きしめながら、固く、固く誓うのであった。