王女の選択

とはいっても、この戦いは最初から決着がついているようなものだった。

鉱物のみならず、兵力においても格段と優れているストラウス公国に勝てるはずがないのだ。
奇襲をかけたその日に負傷したルドルフ国王は命からがら逃げてきたのはいいものの、ストラウス側はそのまま一気に反撃、国境を越えて押し寄せてきたのである。

国王の尻拭いとして一人娘のカーラが司令塔に立ち、仕方なくこの戦いの後始末をさせられている。

生まれた時からカーラは剣術を叩き込まれ、盗賊討伐に連れ出されるなど男同然に扱われてきた。
他の王女達がしきたりやダンスを学んでいる間、カーラは国王を補佐し、剣術に磨きをかけていたのだ。

もちろん、これはカーラ自身が望んだ生き方ではなかった。
しかし、国王に息子がいないことで、なぜか自分に責任があるように感じていたカーラにとって、この国を守り、国のため、国王のために戦うことはある意味自分の運命なのだと半ばあきらめていた。

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