王女の選択

カーラは今まで戦いに関してルドルフに口を出したことはなかった。
しかし、今はルドルフの執着心にいらだって仕方なかった。国民を犠牲にし、国を犠牲にしてまでほしいものなどあるわけがない。

そんなカーラのいらだちをよそに、ルドルフは突然目を見開き、にやりと笑った。

「奴が・・・この城にいるというのか?」

「はい・・・・。」

「戦いを勝手に終わらせ、相手に有利な交渉をしようとしたお前だが、城に連れて来たのは上出来だ」

そう言うと苦しそうに腕を顔元まであげ、人差し指で近づくように指示を出した。

「いいか・・・。今日は丁重におもてなしをしろ。私の体調はまだよくないが、交渉の場に着く準備があると言え」

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