王女の選択
「頼むから女が理由で命を落とすなんてことは辞めてくれよ。いいか。もう一度忠告するが、相手は“あの”ルドルフ国王の娘なんだからな」

「忘れてはいないと言っているだろう」

「じゃあどうするんだ」

「・・・ルドルフ殿に結婚の許しをもらおうと考えている」

「・・・・・・」

バタンッ!!という音と共にリュカが椅子を投げ出し、立ち上がった。

「しょ・・・正気なのかっ!」

「ああ」

両手で頭を抱えながら、リュカはドアの前を行ったり来たりして喚き始めた。

「頼む。もう少し冷静になってくれ。結婚ってなんだ?!ジェラルドっ!気は確かか??」

「?・・・何が問題だ?」

ジェラルドはリュカを目で追いながら面白そうに答える。

「せめてっ・・・・せめて恋人とかなんか他のがあるだろうっっ!!」

「他?他ってなんだ?」

「いいか!お前はストラウス公国ジェラルド大公なんだぞ!彼女とのキスがどれだけ良かったのか知らないが、ルドルフ国王が敗北を認めて娘を差し出すならともかく、勝者のお前が頭を下げて結婚の許しを得るとか正気の沙汰だとは思えないぞっっ!どちらにしろ両国の国王が許すはずがない」

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