王女の選択
ジェラルドは何事もなかったかのように立ち上がるとかけてあった布で体を拭き、着替えを済ませた。
ルドルフ国王が頭を下げて娘をストラウスに渡すとは今の時点では否に等しいことだとわかっている。
現時点での彼女の立ち位置も微妙だ。もう少し様子を見る必要がある。
「すっきりした。リュカも湯を浴びるだろう?」
何を言っても聞く気がないことを知ったリュカは頭を振って降参のポーズを取った。
「俺のことは気にするな。湯浴みは・・・ここの侍女に手伝ってもらうから」
リュカは湯浴みのことを考えて元気を取り戻したのか、にやりと口角を上げると足取り早く部屋から出て行った。
大きなため息をついたジェラルドは汚れた服をドアの脇に置くと、立てかけてあった剣を腰に差した。