王女の選択
「セルドウィックの状況を話してくれ」
「状況・・・とは?」
「セルドウィック王国がなぜ隣国を度々攻撃してくるのかを知りたい」
「・・・わかりません」
「理由があるだろう。昔は平和な国で隣国との交流も盛んだった。私も幼い頃一度ここに足を踏み入れたことがあるが、活気にあふれた城内をルドルフ殿が王妃と共に案内してくれたことを覚えている」
カーラはハッとして顔を上げると、自分を落ち着かせるように胸に手をやった。
「この地に・・・訪れたことがあるのですか」
「ああ。でも残念ながら其方のことは覚えていない」
「父は・・・息子がいないことをとても恥じています。私には息子のように接していましたし、顔を出すことを父に許されたことはほとんどありません」
「こんなに綺麗なのに」
ジェラルドは腕を伸ばすとカーラの頬をそっと撫でた。
ジェラルドの指が触れた瞬間、飛び上がってしまいまた顔を赤く染めた。なぜ何度も遠慮なく触れてくるのかカーラには理解できなかった。