王女の選択
ジェラルドはまず侍従長のベルトランを呼び出しステラと共に城内の状況を全てヴィクトーに報告するよう次々と指示を与えた。ベルトランとステラは震えながらジェラルドの指示を聞いていたが、カーラがこの国を改善しなければならないから手伝ってほしいことを伝えると、落ち着きを取り戻し二人はヴィクトーと大広間を後にした。

ほんのわずかな時間でセルドウィックの状況を把握し、側近たちに的確な指示を与えるだけでなく、敗戦国の復興のために動こうとしているジェラルドを見ながら、彼は生まれながらにして上に立つ人物であることを悟った。

「王都の被害状況を確認するため、明日は私と一緒に来てほしい。そして重要なことだが、宰相と話をする必要がある。手伝ってくれるか」

「もちろんです。ただ彼は父の右腕となる人物です。そう簡単には・・・」

その時、カーラ様という声と共に白髪の男が近寄ってきた。


宰相ジルベール。

七十を超えてはいるが、ルドルフ国王の父親の代からこの国を支えていて、経験と知識においては誰よりも優れており、ジルベールの知恵無くしてセルドウィックの今はあり得なかった。
ジルベールは深々と頭を下げ、ジェラルドも敬意を表すために立ち上がると軽く頷き返した。

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