王女の選択
「このような形でジェラルド大公とお会いすることになるとは思ってもおりませんでした。アングラード国王陛下はお変わりございませんでしょうか」
「ああ。ジルベール殿ともう一度話したいとずっと思っていた。幼い頃、其方からもらった木彫りの鳥、今でも持っている」
ジルベールはハッと息を呑み、目を見開いた。
「それは・・・・それは大変光栄なことでございます」
「このような戦いが再度起きぬよう、其方の力をお借りしたい。カーラから交渉を進めたいと申し出があったが、私はルドルフ殿と直に交渉したいと思っている。ジルベール殿、それは可能だと思われるか」
ジルベールの眼を覗き込み、ジェラルドは尋ねた。
「ルドルフ国王陛下は・・・鉱山権の所有を要求されると思われます」
「どうしても譲れないということか・・・この戦いは事実上我々の勝利で、その気になれば完全に支配下に収めてもいい状況であるということをそちら側は理解しているのか」