王女の選択

4


カーラがいなくなった大広間は殺風景に感じられた。
手のひらに残る彼女の肌の感触を思い出しながら目の前にあるワインボトルに手を伸ばした。

「その様子だと、うまくいかなかったようだな」

振り返ると、リュカとヴィクトーがいくつかの書類を手にしていた。

「それにしても、彼女が慎ましく生活しているのは明らかだな」

テーブルに目を落としたリュカはその質素な食事に対しての率直な感想を口にした。
セルドウィックは小さいとは言っても商業が盛んな王国であるはず。戦いの間とはいえ、こんな簡素な生活をしていることに驚きを隠せなかった。

「ヴィクトー、侍従長から何か話を聞きだせたか?」

「特に何も。ただ、多くの召使が城から出たとかで人手不足に関して危惧しているようでした」

「戦いにつぎ込んでいる資金を断ち切り、復興にまわしていかなければならないな」

「ジェラルド殿・・・復興の手助けをなさるおつもりですか」

ヴィクトーはジェラルドがどう動くかまだ完全には把握しきれていなかった。

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